好きな事で生きていけるのは本当に幸せなのかと
たまにふと思ってしまう時がある。
22歳とか23歳の頃、よく路上ライブとかやってた。
八王子駅前。閉店した薬局。降りたシャッター。
その前にギターアンプ、エレキギター。
そしてミニドラムの友達。
二人でビール飲みながら、騒いで歌って。
ビートルズ、安藤裕子、マルーン5,ルースターズ、尾崎豊。
道中の酔っ払いに喜ばれて。絡まれて。とりあえず音を鳴らし続けた。
ひたすら飲みながら、ゲラゲラ笑って、音を鳴らし続けた。
でもその音は、多分9割9分が音楽じゃなくて【騒音】だったと思う。
自分勝手に、とにかく音を鳴らした。
なんか凄く、心の奥底から音楽が楽しかった。
テロテロになって、八王子のその友達の家に機材を持って帰る事も多々あった。
「お腹すいたからカップラーメン食べようぜ」って近くのコンビニで買っても、
その友達が料金未払いでガスが止まってお湯が出せなくて、
水道水を電子レンジで温めた中途半端なぬるま湯でどん兵衛を作って、
「バリバリじゃねーか!!」って二人でキレてた。
わたしもよく電話、電気、ガス、水道、止まってたから、
遊びに行った友達の家のガスが止まってても何にも驚かない。
ガシャガシャ音を鳴らして、お酒を飲んで、テロテロになって、
朝になって家に戻って、それでもくだらない話をずっと続けて。
低ビットレートのMP3はハイハットが如実に劣化を食らうとか、
ラウドミュージックとラウドじゃないの境目はなんだとか、
最近自分が見て聞いた音楽の良さを語ったり、
コンビニの廃棄を食べながら「これうめーなー。」とか話したりして。
そんでウトウトしながら「そろそろバイト行ってくるわ~。」とか言ったりして。
年齢とか、環境とか、色々あるけど、
音楽を職業にしてしまった以上、もうあの頃には戻れない。
あの時みたいに、バカみたいに音楽を楽しんでた頃には戻れない。
何の責任感もなく、音を出してヘラヘラ出来る事は、この先には絶対にない。
それらは一つの成長だけれども、たまに悲しい気持ちになる時もある。
この形を選んだ責任。っていう言葉が適切かどうかはわからないけど。
好きな事で生きていくというのは、大体がこういう問いにたどり着く。
「本当にそれが好きなのか。そう言える自分に責任が持てるのか。」
バイク好きな友達。バイクショップに就職して、すぐに辞めた。
楽器が好きな友達。レコードショップに就職して、すぐ辞めた。
ギターが好きな友達。楽器屋に就職して、すぐ辞めた。
絵を書くのが好きな友達。デザイン会社に就職して、すぐ辞めた。
わたしも色んな事を、すぐに辞めてたらどうなってたかな。
もちろん辞めないけどね。
おわり。
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